“こんにちは、世界” 病室と万博がつながった一日

――Hello!おもてなしジュニア 現地レポート(2025年8月22日)

2005年の「愛・地球博」に185日間すべて通い、“万博おばあちゃん”として知られる山田外美代さんと元観光庁長官として日本の観光戦略を牽引し、現在は大阪観光局理事長として大阪の観光と魅力発信を担う溝畑宏(ミャクひろし)さん

このお2人が、8月22日に大阪・関西万博の大阪ヘルスケアパビリオンで開催された「Hello!おもてなしジュニア」に参加しました。未来を担う子どもたちが舞台の中心に立ち、世界との交流を体現した特別な一日の感動に迫ります。

案内人の紹介

山田外美代さん

「万博おばあちゃん」こと山田外美代さんは、2005年の愛・地球博をきっかけに万博の魅力に惹かれ、以来世界各国の万博を訪れ明るく親しみやすい人柄で、万博の魅力を多くの人に伝えている。

溝畑宏さん

2015年から大阪観光局理事長として、2025年大阪・関西万博を見据えた観光戦略を推進。大阪を「アジアNo.1の国際観光文化都市」とするべく、都市・経済・文化の政策を総合的に展開している。

Hello!おもてなしジュニア とは?

“Hello! おもてなしジュニア” プロジェクトは、子どもたちが海外の方と折り紙やダンス(盆踊り)、紙相撲などを通してコミュニケーションすることで、外国の言葉や海外の人と触れ合うことを目指してはじまりました。そして、周りのアドバイスを借りながらも、「海外の人に日本文化を伝える」大切さを自ら考え、学ぶプロジェクトです。
2023年よりスタートし、2025年大阪・関西万博では大阪ヘルスケアパビリオンの公式プログラムとして実施されています。参加する子どもたちは「日本文化の小さな大使」として、言葉や文化の壁を越えた交流を担います。

オープニングステージ ― 元気あふれるダンスと折り鶴の願いがつなぐ、心ひとつの開幕ステージ

イベントは、子どもたちの明るいチアダンスで華々しくスタート。ステージいっぱいに広がる笑顔と元気な声に、観客席からも自然と歓声と拍手がわき起こりました。

さらに理事長もステージに登場し、力強いダンスで会場を一層盛り上げます。子どもと大人が一緒に楽しむ姿に、会場は笑顔と熱気に包まれ、一体感あふれる空気が広がりました。

続いて登場したのは、摂津市立味生小学校の子どもたちが心を込めて折り上げた4mもある巨大な折り鶴。ステージ場では、制作の様子を記録した映像も上映されました。
その中で校長先生は「平和の大切さを理解していても、それをどう伝えればいいのかは難しい。だからこそ万博という舞台で平和を発信できた経験は、子どもたちにとって大きな誇りになる」と期待を寄せました。

大屋根リングにいる来場者にもみんなで手を振りました。

実際に会場に届けられた巨大な折り鶴には、『みんなで仲良く、平和に暮らしたい』という子どもたちの願いが込められ、その思いは国内外の来場者へとまっすぐ伝わりました。

溝畑宏(ミャクひろし):
未来を担う子どもたちが世界の方々と交流し、平和や協調に貢献してほしいという思いで、このプロジェクトが立ち上がりました。今日は大阪・関西万博の国連ナショナルデーです。子どもたちが平和の象徴である折り鶴を作ったり、紙相撲や盆踊りを通して世界の方々と交流を深めています。20年、30年後には、こうした子どもたちが日本を世界に開いていく存在になってほしいと願っています。

万博おばあちゃん:
わたしたちも子どもの時がありました。そして、この先の世の中を支えてくれるのは今の子どもたちです。これから子どもたちが取り組むことを、みんなが応援してくれる世の中になったらいいなと思います。

入院中の子どもたちとつながる「ホスピタルジュニア」ブース

会場の一角でひときわ注目を集めていたのは、「ホスピタルジュニア」のブースです。神戸大学病院の小児病棟に入院中の子どもたちと、大阪・関西万博の来場者をオンラインでつなぐ特別な取り組みです。

テーブルに並ぶのは、子どもたちが自分で描いた絵をもとに作られたぬいぐるみ。それをかぶせたロボットは、病院側から遠隔操作できる仕組みに。来場者がロボットに話しかけると、「Where are you from?」と元気な声が返り、病院の子どもたちの笑顔や声がそのまま届きます。

万博おばあちゃんが声をかけると、「万博おばあちゃんの声、聞こえてるよ!!」と明るい返事が。会場は笑顔と拍手に包まれました。まるでぬいぐるみが子どもたちの分身となり、その場に一緒にいるかのような一体感に、胸がじんわり温かくなります。

さらに、来場者は、自分の体験や感想を手紙で病院に届けたり、SNSで発信することも可能です。体験を終えた人には、シールやバッジといった記念グッズが配られ、子どもたちとの心温まる交流の余韻を持ち帰ることができました。 

折り紙がつなぐ、世代と世界

折り紙体験ブースでは、おもてなしジュニアが先生役となり、来場者に折り方を教えます。外国からの来場者も訪れ、言葉の壁を越えて折り紙を楽しむ光景も見られました。

万博おばあちゃんも挑戦し、一緒に折ったのは可愛らしい「おにぎり」。ペンで胡麻を描き入れると、本物のように美味しそうなおにぎりが完成しました。

続いては兜を作成。「兜は子どものころ、新聞紙でよく作ったので得意なんです」と懐かしそうに語りながら、夢中で折るおばあちゃんの姿も。わからないところはおもてなしジュニアに質問しながら、真剣な表情で一緒に仕上げていきます。

最後には折った作品におもてなしジュニアが名前を書いてくれて、すっかり仲良くなった様子。小さな紙が生み出した時間は、世代や世界をもつなぐ心の交流となっていました。

会場を彩った多彩なステージ

大阪・関西万博の会場では、その他にもさまざまなステージイベントで大盛り上がり。大阪府警とおもてなしジュニアによる安全啓発ステージでは、外国からの来場者に向けて緊急時の対応方法を紹介。

子どもたちは大阪府警の方と一緒に、110番通報のかけ方を教えたりと大活躍。

巨大な紙相撲の対決では、外国の方も夢中で台を叩き、応援の声が会場いっぱいに響き渡りました。体験した方にはノートや扇子のプレゼントも配られ、最後は敬礼ポーズで記念写真。

さらに、スリランカパビリオンとのコラボレーションステージではクイズ大会が開かれ、参加者は「スリランカの主な宗教は?」「周りの海の名前は?」といった問題に挑戦。大人も子どもも頭を悩ませ考え込む一面も。正解するとブレンドティーなどの賞品がプレゼントされました

ベトナムパビリオンとのコラボレーション企画では、伝統音楽が披露され、異国情緒あふれる旋律に会場では思い思いに耳を傾け、音楽を通して文化に触れるひとときを楽しんでいました。

フィナーレ――よさこいのリズムでひとつに

イベントの最後を飾ったのは「EXPO2025 高知の祭典WORLD YOSAKOI DAY」とのコラボレーション。子どもたちは「鳴子(なるこ)」を手に取り、高知県発祥のよさこい踊りで締めくくりです。「よっちょれや!」の掛け声とともに、軽やかなリズムが会場に広がり、参加者も思わず体を揺らして笑顔に。

そして、そのままみんなで、万博のテーマソングに合わせたダンスを一緒に踊り、会場は一体感に包まれました。未来を担う子どもたちの姿に、観客からは惜しみない拍手とエールが送られ、感動に包まれた一日が幕を閉じました。

まとめ・感想

子どもたちが笑顔で世界とつながる姿に、大人も自然と笑顔になりました。
入院中の子どもたちと会場をつなぐ取り組みもあり、「距離を越えて心を寄せ合う温かな瞬間づくり」が胸に響きました。
小さな体験の積み重ねが、子どもたちの自信と誇りになっていく――そんな希望を感じた一日です。

次回の「おもてなしジュニア」イベントは10月4日(土)に同じ大阪・関西万博の「ヘルスケアパビリオン・リボーンステージ」にて開催します。(12:45~16:30(予定))
大阪・関西万博の場を通して、会を重ねるごとにたくましく成長し、触れ合った海外の人や国にとても興味と親しみを持つ子どもたちの姿に、本当に感動します。ぜひ、大人も子どもも楽しくて、ためになる時間を一緒に過ごしましょう!

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