万博おばあちゃん × 溝畑宏(ミャクひろし)と五感を刺激するマレーシア

― 調和を編む、マレーシアパビリオン―

2005年の「愛・地球博」に185日間すべて通い、“万博おばあちゃん”として知られる山田外美代さんと元観光庁長官として日本の観光戦略を牽引し、現在は大阪観光局理事長として大阪の観光と魅力発信を担う溝畑宏(ミャクひろし)さん。
建築家・隈研吾氏が手がけたマレーシアパビリオンで、2 人が体感したのは「調和」と「多様性」が共鳴する、未来のマレーシアの姿でした。

案内人の紹介

山田外美代さん

「万博おばあちゃん」こと山田外美代さんは、2005年の愛・地球博をきっかけに万博の魅力に惹かれ、以来世界各国の万博を訪れ明るく親しみやすい人柄で、万博の魅力を多くの人に伝えている。

溝畑宏さん

2015年から大阪観光局理事長として、2025年大阪・関西万博を見据えた観光戦略を推進。大阪を「アジアNo.1の国際観光文化都市」とするべく、都市・経済・文化の政策を総合的に展開している。

ようこそ、“編む建築”竹でつむぐマレーシアの物語

マレーシアパビリオンの設計を手がけたのは、世界的建築家・隈研吾氏。
日本産とマレーシア産あわせて5,500本の竹を使い、マレーシアの伝統織物「ソンケット」から着想を得たファサードを創出。
織るように編まれた竹の構造が、多様性と調和の象徴として “織物のような建築”に思わず見入ってしまう美しさです。

五感で感じる!マレーシアの多様性と温もり

マレーシアは13の州と3つの連邦直轄領から成り、多様な民族が共に暮らす国。マレー人やインド人、中国人、イバン人、カダザン人など、色とりどりの文化が織りなす豊かさが特徴です。

活気あふれるお祭りや賑やかな市場、伝統的な食文化、さまざまな言語を通じて、自らのルーツを大切に守り続けています。

色彩豊かな食文化が溢れています

過去と現在をつなぐ、進化の旅

次のゾーンへ進むと昔と今の様子を比較しながら、マレーシア各地がどう発展してきたか、来場者を包み込むようなトンネル状の映像空間が現れます。

万博おばあちゃん
こんなに綺麗な街を見ていると、余裕があれば「こんな場所に自分の家を建ててみたいな」なんて思ってしまいます。

心を見上げる、 “調和の樹” との出会い

パビリオンの中心に立つのは、まさにこの空間の象徴とも言えるアート作品「調和の樹」。
幹は螺旋状に編まれた竹で構成され、枝葉には多様な織物のパーツが広がり、見る角度によってその印象が変化します。

万博おばあちゃん
1本の竹と1本の竹を組み合わせて形をつくる工程に「調和」の意味が込められていると聞いたとき、ふと幼い頃の記憶がよみがえりました。
小学校に上がる前から竹を編むのが好きで、おばあちゃんに教わりながら、手にしたお小遣いで竹を買っては、夢中になってかごを編んでいたのを思い出しました。

溝畑宏(ミャクひろし)
調和の樹はテーマも良い。1つ1つの織り目に伝統的文化をつなぐ職人の深い思いが感じられる。「調和の樹」というテーマ自体もとても素敵で、心に響きます。
1つ1つの織り目からは、伝統文化を未来へとつなごうとする職人たちの深い思いが伝わってきました。

枝葉は4つの異なる色のバリエーションでデザインされており、マレーシアの多様性を表現しています。
色と素材の様々な組み合わせで、調和や共生を繊細に映し出されていて、それぞれの民族のユニークな物語が聞こえてくるようですね。

香りと彩りが食欲を誘う!マレーシアグルメ

マレーシアパビリオンの魅力は、展示だけではなく屋台気分で楽しめる本格料理がたくさん!人気のロティーチャナイやナシゴレンのスパイシーな香りがパビリオンに広がります。

溝畑宏(ミャクひろし)
全て美味しい!ナシゴレンは具材が色々入っていておすすめですよ!

一日数回!参加型の伝統ショーも見逃せない!

パビリオン前のステージで行われるダンスショーは、音楽と笑顔に包まれるひととき。1日複数回実施され、立ち寄ったタイミングで楽しめるのが魅力です。

週ごとに演目が変わるショーはいつ訪れても新鮮!

マレーシア館長Ellyza Mastura Ahmad Hanipiah氏と、未来・文化を語る

マレーシア館長を迎えて、マレーシアパビリオンの魅力についてお話をお伺いしました。
マレーシアの多様な文化と可能性を語るその言葉たちから見えるのは、“調和”という言葉の奥深さでした。

Ellyza Mastura Ahmad Hanipiah氏
私たちが伝えたいのは 多民族国家マレーシアの“調和”の姿です。
文化・言語・宗教が異なっても、共に生き、発展していけること。観光地としてだけでなく、半導体産業、ハラール市場、グリーンテックなど未来を切り拓くビジネスの舞台としてのマレーシアにも注目していただきたいです。
また、1日4回のダンスショーでは、伝統的な踊りを現代的にアレンジし、文化的な豊かさと開かれた精神を感じていただけるよう工夫しています。「踊りを通じて、多様性と調和の魅力を来場者に感じてもらいたい」と語ってくれました。

万博おばあちゃん
私はこれまでにマレーシアを2回訪れたことがありますが、どちらも観光プログラムに載っているような定番のスポットばかりを巡りました。バトゥ洞窟や市内の観光地などには行きましたが、それ以外に、今、日本人におすすめしたい“もっとマレーシアらしさを感じられる場所”があれば、ぜひ知りたいです。

Ellyza Mastura Ahmad Hanipiah氏
マレーシアにはそれぞれに異なる文化があります。どの州もそれぞれの“色”を持っているので、ぜひいろいろな場所を訪れてほしいですね。

特定の州を取り上げるのは難しいですが、あえてあげるなら「クランタン州」がおすすめです。活気あふれるマーケットがあり、他の地域ではなかなか出会えないユニークな料理も楽しめる場所です。
もうひとつ紹介したいのは「サラワク州」。こちらは自然が豊かで、美しいビーチや原生林(ヴァージンフォレスト)、洞窟、山など、多様な自然の魅力にあふれています。
日本の方は山歩きや自然の散策がお好きだと聞いています。サラワク州にはそうした楽しみ方にぴったりあったスポットも多くありますので、自然を満喫したい方にもおすすめです。

つながり、そして未来へのリレーションシップポーズ!

まとめ

“違い”を楽しみ、編み上げていくことの大切さをマレーシアパビリオンは、その精神を建築や展示、食、ショー体験まですべてで表現しています。

調和は、誰かに与えられるものではなく、私たち一人ひとりが“紡いでいくもの”。そんな気づきに出会えるパビリオン。自分だけの調和の物語をぜひ感じてみて下さい。

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