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アートが点在するまちで、遊び尽くそう!千鳥文化店主が案内する、北加賀屋ツアー。
2024.03.21
地元民が愛する「北加賀屋」の穴場スポットとは? 知る人ぞ知る秘密の大阪を案内する「1DAYローカルツアー」、今回はアートを楽しめるまちとして変貌を遂げる・北加賀屋を、案内人の江口琴理さんが紹介します。
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北加賀屋は、大正時代には造船のまちとして栄え、工場や倉庫などが点在していた工業地帯。今もその面影は残るものの、2004年頃から「芸術や文化が集積するまち」を目指し、名村造船所大阪工場跡地の利用や空家の活用が進んできました。
ウォールアートや立体作品を中心に、なんとストリートには約40もの作品が点在。ここを拠点に活動するアーティストやクリエイターは約100名にのぼると言います。さらに、若者が主体となった飲食店やクラブなども生まれ、賑わいが増しています。
そんな変貌を遂げる北加賀屋ですが、このまちのおもしろいところは、決して全部が新しく塗り替えられているのではなく、昔からの建物やお店も残り、下町らしさと現代らしさが共存しているところ。この様子をいい意味で「カオスな感じのまち」と呼ぶ声もあります。
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2017年には、複合施設「千鳥文化」が誕生。築60年の文化住宅を、北加賀屋を拠点にする建築家集団dot architectsが再生し、「再生」と「循環」をキーワードに、食堂やバー、商店、ギャラリーを含むクリエイティブなスポットとして生まれ変わらせました。
今回はそんな「千鳥文化」から、千鳥文化食堂の店長を務める江口琴理さんを迎え、アートのまち・北加賀屋の楽しみ方を教えていただきました。
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江口琴理東京都出身。美術系大学を卒業後、関西へ。京都のホテル「HOTEL ANTEROOM KYOTO」で、ギャラリー運営を担当。アンテルーム時代に担当した作家・小出麻代による個展を見に「千鳥文化」へ足を運んだことがきっかけで現職へ。縁のなかった北加賀屋だが「古い建物のなかに急に新しい個人店が現れる統一感のなさ、その新旧をつなぐように点在するアートがおもしろい」と、満喫中。
入居者も募集中! 新たな複合施設「NAGAYArt」
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まずは、2023年7月にオープンした複合施設「NAGAYArt」へ。大阪・此花を拠点に活動するPOS建築観察設計研究所が施工をし、現在はサンドウィッチ店「natural sand」とチャイ専門店「Talk with _」の2店舗が入居しています。
実はそれぞれのお店は、改修前に入居者を決め改修プランから一緒に考える「ネオカスタム賃貸」という方法で生まれたそう。文化住宅だったとは思えないようなおしゃれな内装は、一見の価値あり。現在1階店舗区画と2階住居区画の入居者も募集しています。
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もともと保育園や幼稚園で、栄養教諭をしていた店主が営む「natural sand」。関西の農家さんから仕入れた減農薬や低農薬の野菜をふんだんに使った、サンドウィッチがいただけます。「1食で栄養をたっぷりとってほしい」と手がけるひと皿は、見た目もカラフル。
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心にも体にも優しい食材が、北加賀屋住人の暮らしを支える
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北加賀屋駅の4番出口からすぐのところに「Yummy Market」ができたのは、2023年5月のこと。棚にはオーガニック食材や、高校生が食品を選ぶ「高校生百貨店プロジェクト」によってセレクトされた地域の名産品が並びます。
「心が躍れば体も笑う」をコンセプトとしたこのセレクトショップ。食材だけでなく、毎週金曜には富田林で有機野菜を育てる「笑ノ百姓」さんの採れたて野菜も登場するなど、ちいさくも魅力が詰まったお店です。
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調味料や食材、お菓子、さらには徳島県の魚谷キムチさんがつくる「参鶏湯」まで、取扱商品はさまざま。日々のお買い物だけでなく、手土産を選ぶ人も多いそう。購入品のラッピングもしてくれます。
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東洋のスーパーフルーツと言われるなつめのチップは、ヨーグルトやサラダにかけても美味。ザクザクの食感がやみつきに!琴理さんは「はちみつを集めるのがマイブーム」らしく、今日は「いずみつ 食べ比べセット」もお買い上げ。
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昼はスパイスカレー、夜はお酒とフィッシュ&チップスを!
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千鳥文化と同じく2017年にオープンしたのが「cafe&bar O’hara」。昼はスパイスカレーをメインに楽しめるカフェ、夜はお酒とともにフィッシュ&チップスや一品が楽しめるバーです(もちろんカレーもあり)。
店主の大原拓郎さんは「北加賀屋は、アートのまちとして変化しつつある」と聞いて、「おもしろそうやな」とこの地にオープンを決めたそう。自身も学生時代はデザインを学んでおり、ものをつくることが大好き。料理だけでなく、店内のイラストや立体作品もすべて自作。
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営業時間:11:30〜15:00、17:00〜23:00(LO22:30)
定休日:木・金曜昼
電話番号:無し
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全部回り切れるか!?北加賀屋のアートを探せ!
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さて、ここまで歩いてきたなかで、ところどころ出合ったアートをご紹介。さまざまな作品が点在しているので、散策する際はフリーペーパー「CHAOS MAP」を手にするのがおすすめです。アートの場所だけでなく飲食店や施設も掲載されており、地図を見ると北加賀屋の充実度に驚かされます。「NAGAYArt」などに設置してあるので、ぜひゲットしましょう!
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食とアートが重なる、北加賀屋の文化拠点へようこそ
築60年の文化住宅を改修した複合施設「千鳥文化」。建物の竣工当時はまだ造船業が盛んで、ここも店舗兼労働者の住宅として使われていた建物でした。食堂やバー、ホールの他に、シングルオリジン日本茶専門店「KENOCHA 褻の茶」や特殊な技法でバッグや帽子をつくる「ミミヤマミシン」など9つのテナントが入居。2Fヘ上がると常設展として、現代アーティスト・金氏徹平の作品の鑑賞もできます。
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鉄板でパリッと焼いたハード系のパンに、牛サーロインや3種のチーズを使った「フィリーズチーズステーキ」1050円(税込)や、自家製パンチェッタやレタス、トマトを挟んだ「P.L.Tサンド」1030円(税込)など、「千鳥文化食堂」のグリルサンドイッチのメニューは6〜7種類。
パフォーマンス集団「contact Gonzo」のメンバーが海外で見つけてきた雑貨や、千鳥文化スタッフの手編み作品・古着など、北加賀屋ならではのアイテムが揃う商店スペースも。その向かいにはこの場所に関わる人が寄贈した、本が読めたり貰えたり、交換できる千鳥文庫なる本棚もあります。
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バーのスタッフは、もともと食堂の常連さんだったというマユミさんが担当。「Yummy markets」で買った野菜を使った軽食が出ることもあるそう。
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24年夏頃には千鳥文化1階テナントに珈琲豆の焙煎所もオープン予定!
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営業時間:食堂 11:30〜18:00、バー 18:00〜23:00
定休日:火・水
電話番号:06-7505-5189
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復活した銭湯でリフレッシュしたら、宿を目指そう
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アートにお店に、北加賀屋をたっぷりと歩き回った疲れを癒してくれるのが、ここ「寿楽温泉」です。昭和38年に創業し、惜しまれながら2021年に閉店。しかし「地域から銭湯がなくなったら、そのまちの環境も変わってしまう」と、地元の南港病院が経営を受け継ぎ、2023年2月に復活を果たしました。
現在、まちをつくるひとつの施設として、日々の銭湯営業だけでなく、月に一度「ワインガーデン」というイベントも開催。近くの「ばんどう酒店」がナチュラルワインを提供し、月によっては演奏会が伴うことも。ひとっ風呂浴びたあとに、ワインや心地よい音に囲まれたひとときを過ごせます。
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2階へ上がると、大きな休憩室が。ソフトドリンクの他に、生ビールやクラフトビールなどもあるので、風呂上がりの贅沢な一杯を楽しめます。
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なんと、薪焚べ体験までできてしまう! もちろん琴理さんもやってみました。「あつーい!」と言いながらも楽しそう。燃料には住之江区で出た廃材を利用しているそう。
銭湯でさっぱりしたあとは、そのまま宿泊施設「Air Osaka Hostel」へ。もともとアーティストインレジデンスだった場所を、山本さんが2015年に引き継ぎ、ホステルとしてリスタートした場所です。
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「訪れる旅人たちが自由にここを使ってほしい」と、ニュートラルな場として、これまで国内外から旅人をたくさん受け入れてきました。宿泊客が壁に絵を描いたり、置き土産をしていったり、時にはイベントをすることも。「これやってみたい」を全力で支え、旅人の多くは口コミで集まってきている模様。もちろん日本人の宿泊客もウェルカム。24年からは不定期でバー営業も始まるそうなので、宿泊客以外のお客さんの飛び込みも歓迎です。
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オマケ:まだまだ遊べる、アート+音楽スポット
北加賀屋といえば、最初に名前があがる「クリエイティブセンター大阪」や、2019年にオープンした「Club Daphnia」など、掘り甲斐のある魅力的なスポットが。モデルコースで紹介したスポットとあわせて、ぜひ一度訪れてみてください。
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敷地面積約4万m2を誇る「クリエイティブセンター大阪(名村造船所大阪工場跡地)」は、近代化産業遺産にも選ばれている造船所の跡地。広大な敷地を活かし、フェスやダンスイベント、演劇などさまざまなパフォーマンスが開催されています。
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こちらは通称「SSK」、その名も「Super Stusio Kitakagaya」。アーティストやクリエイターに「つくりつづけることができる場所」を提供し、スタジオで滞在制作が行えるます。普段は非公開ですが、不定期で創作活動の様子が公開されることも。
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すべてをDIYでつくりあげたというこだわり空間の「Club Daphnia」。音響の品質は大阪でも随一という声も。金曜日の夜から30時間連続でテクノ音楽を楽しむ、 名物イベント「Diagram」もイチ押し。
下町に潜む、ニューカルチャーを探してみよう
アートと共に、北加賀屋を一日巡るこのツアー。昔からの長屋や工場、倉庫の合間に忽然と現れるアートや個性的なスポットをめぐっていくうちに、「ここは、昔どんな場所だったのだろう?」と過去と未来を行き来しているような感覚に。
でき上がったまちなのではなく、沸々と新たなスポットが生まれつづけている北加賀屋だからこそ、大阪のこれからを知るニューカルチャーを感じられるかもしれません。
難波や梅田など、大阪の中心地とはひと味違ったアートツアー。大阪観光の工程に、ぜひ取り入れてみてくださいね!
- Text
- 小島知世
- Photo
- 納谷ロマン
- Edit
- 納谷ロマン(人間編集部)
※掲載情報は2024年3月時点のものです。掲載店舗・施設に関する最新の営業時間は各店舗・施設のHPなどでご確認ください。