
あの人気チェーン店のルーツは大阪にあり。ミスド、くら寿司、神座など…1号店マニアが聖地巡礼
2025.03.26
時間や地域を選ばず、安定した味を楽しめる飲食チェーン店は私たちの心強い味方。関西のみならず全国、ひいては世界へ羽ばたく原点となったチェーン店の1号店が大阪にはたくさんあるんです。今回の「OSAKAマニア探訪」は、国内外の飲食チェーン店の1号店マニアのBUBBLE-Bさんに、大阪にルーツを持つ有名店を案内していただきました。

「素早く食事を済ませたい」「知らない土地で失敗したくない」など、いつでも私たちのワガママに寄り添ってくれる飲食チェーン店。いつ訪れても馴染みの味と雰囲気で迎えてくれる安心感は計り知れません。さんざんお酒を飲んで迎えた朝、始発前にかき込む牛丼やラーメンがどれほど染みることか……(皆さんも思い返してみてください)。
今回は、これまで全国各地にある飲食チェーン店の本店や1号店を巡ってきたBUBBLE-Bさんに、大阪にある1号店を案内してもらいます。海外でも人気のラーメン店や回転寿司店、老若男女に愛されるドーナツ店、商業施設にも出店する老舗喫茶など、そのルーツを学ぶことで、いつも利用しているあの店がより魅力的に感じられるはず!
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BUBBLE-B1976年生まれ、滋賀県出身。近畿大学卒業。全国各地の飲食チェーン店の本店を巡るライフワークを続け、チェーン店専門の研究家として活躍。著書に『全国飲食チェーン本店巡礼~ルーツをめぐる旅』(大和書房)。
飲食チェーン店専門の研究家として国内外の本店や1号店を探訪し、執筆活動も行うBUBBLE-Bさん。そんな活動を始めたきっかけは、京都市左京区にある「天下一品」の本店だったそう。
「学生時代からずっと本店の味が大好きで、どうして他店よりおいしいと感じるのか疑問だったんです。それを本店のスタッフさんに尋ねたところ、何も特別なことはしていないということで、結局真相はわからずじまいでした。ならば、これは本店で食べることによるプラシーボ効果なのか、他のチェーン店も本店や1号店に行けば同じように感じるのか、調べてみたいと思い活動を始めました」
そうして始まった本店と1号店を巡る旅は、いつしか関西圏を飛び出し、北海道から沖縄まで日本各地のローカルチェーンを訪れるように。自身のブログで魅力を伝えるレポを発信し、遂には本を出版するまでになりました。
秘密の路地から入りたい! どうとんぼり神座(かむくら)

最初に紹介するのは、スープソムリエ資格を持つスタッフの徹底管理のもとで作られる門外不出のスープがやみつきのラーメンチェーン「どうとんぼり神座」。関西、関東を始め、遠くはハワイまで店舗があり、全国では97店舗(2025年2月末時点)を展開する同店は、海外からも多くの人が集まる人気エリア、大阪・道頓堀で創業しました。


「大阪人でも1号店である道頓堀本店の場所を知らない人が多いのでは」と案内されたのは、千日前商店街にたたずむ千日前店の隣に伸びた細い路地。その名も「神座横丁」。以前は、こちらの路地が道頓堀本店へとつながる唯一の入り口だったそうです。もともとカウンター9席のみだった道頓堀本店は、「より多くの人に利用してほしい」という思いから、2024年11月に71席を有する大型店へと拡大リニューアルを遂げました。


路地を奥へと進んでいくと、店内に続く扉が登場! リニューアル後は、道頓堀側の入り口から入店する人がほとんどで、知る人ぞ知る入り口になっているんだとか。
「この横丁と入り口は、以前の本店の面影を感じられる貴重な場所となっています。知らないとなかなか気付けないので、これを知っているとツウぶれますよ」とBUBBLE-Bさん。



営業時間:10:00〜翌8:00(7:30L.O.)
定休日:無休
電話番号:06-6211-3790
公式サイト
タイムスリップ1971、ミスタードーナツ

ドーナツを日本の定番おやつに変えたと言っても過言ではない「ミスタードーナツ」は、アメリカのボストン近郊で生まれ、1971年に「ダスキン」によって日本へ上陸。その1号店は、大阪・箕面市にあります。

そんな1号店の箕面ショップは、入居していたショッピングセンターの撤退に伴い、2001年に一度閉店しましたが、地域住民からの熱い声に応えて2004年にリバイバル。

日本での事業創業50周年の2020年には、創業当時のデザインをモチーフにした内外装へとリニューアル。立体的な裸電球に星型に配置された蛍光灯、レトロなオレンジ色の照明やイスなど、当時の様子が忠実に再現され、まるでタイムスリップしたかのような気分に。より1号店らしさを感じられるお店へとアップデートされました。


回るお寿司も大阪から! 元禄寿司

みんな大好き「回転寿司」の始まりは、東大阪市にある近鉄布施駅前の「元禄寿司」でした。1号店としてスタートした店舗は無くなってしまいましたが、現在も近くに本店があります。

1958年、創業者である白石義明氏は、ビール工場のベルトコンベアからヒントを得て、日本初の「回転寿司」を考案し、布施駅の北口に元禄寿司を開業しました。
入店後、すぐに食べられるスピード感にリーズナブルな価格帯。お高いイメージがあった「寿司」を手軽な大衆食へと変えた回転寿司は、一気に全国へ広がっていきました。




営業時間:11:15~22:00、土日祝10:45~22:15
定休日:無休
電話番号:06-6736-0911
公式サイト
讃岐と大阪のおうどん文化が融合 麺匠の心つくし つるとんたん

麺の「コシ」を楽しむ讃岐うどんに対し、大阪のうどんはもともと「ダシ」を楽しむものでした。その2つを融合させたと言われているのが「つるとんたん」です。

つるとんたんは、飲食店がひしめく繁華街・大阪ミナミの宗右衛門町で1989年に開業しました。
現在国内外に17店舗を展開する同店は、店舗ごとにコンセプトが異なり、古民家風から近未来感のあるデザインまで、細部までしっかりこだわった内装も見どころです。
北海道利尻昆布と鹿児島枕崎の鰹節から生まれるダシと、打ちたて・切りたて・湯がきたての3拍子が揃った“あげたち”の麺から成るおうどんは、創業より受け継がれてきた伝統ある味わい。「うどん」ではなく「おうどん」という上品な呼び名もこちらのお店ならではです。


営業時間:月〜木・日曜11:00~翌6:00、金・土曜11:00~翌8:00
定休日:無休
電話番号:06-6211-0021
公式サイト
回転寿司にイノベーション! くら寿司

圧倒的な店舗数で世界を席巻する回転寿司チェーン「くら寿司」。こちらもまた、大阪発祥のお店です。

1977年に堺市内で個人経営のお持ち帰り寿司専門店として創業し、1984年に新業態「回転寿司くら」をオープン。
それが1号店である中百舌鳥店です。特に1号店であることを示すものはないですが、今や世界的なチェーン店であることを思うと、感慨深い気持ちになるはずです。

くら寿司では業界初でタッチパネルを導入。現在は、回転レーンを使ったお寿司の提供と合わせ、注文されたメニューは高速レーンで運ばれる2刀流の仕組みとなっています。また、QRコードを使って寿司の鮮度を管理しており、ある程度時間が経つと自動的に廃棄されるそう。これは、特許も取得している画期的なシステムです。

現在、くら寿司では国内外の方々に楽しんでいただける「グローバル旗艦店」を展開。
2020年のグローバル旗艦店浅草ROXのオープンを皮切りに、現在東京4店舗・大阪2店舗の計6店舗を国内で展開。柱やテーブルには白木を、各座席には畳のシートを使用するなど、和のぬくもりを感じられる空間に、提灯や浮世絵を装飾したインパクトのある店舗デザインで、訪日観光客をおもてなし。
中百舌鳥店から始まったくら寿司の進化はまだまだ続きます。

ミナミの応接間。丸福珈琲店

関西、東京、名古屋、福岡など、全国に28軒の直営店を展開する「丸福珈琲店」の本店は、大阪のなんば駅から徒歩5分の場所にあります。

丸福珈琲店は、もともと東京で洋食レストランを営んでいた伊吹貞雄氏が銀座で流行っていたコーヒーに衝撃を受け、自分の店でも提供しようとしたのが始まりです。コーヒーがまだマイナーな存在だった当時、試行錯誤の末にオリジナルの器具と技法を編み出し、おいしいコーヒーを淹れることに成功。その味が評判を呼び、「まだコーヒーが浸透していない大阪においしさを伝えてほしい」という知人の言葉をきっかけに、大阪でコーヒー専門店を開くことに。1934年に大阪・今池でスタートしましたが、1946年に千日前へと本店を移し、それが現在も続く千日前本店です。ちなみに今の建物は、1990年に建て直されたものだそう。
アンティークの調度品が散りばめられた店内には、重厚な雰囲気が漂い、「ミナミの応接間」と異名を取るほど。昔から商談などにも重宝されてきました。

研究を重ねたコーヒーは、驚くほど深煎りでストロングな味わい。
「濃いめのブラックが大好きなので、ここのコーヒーはたまりません」とBUBBLE-Bさん。


創業時に思いを馳せつつ、歴史を噛み締めて

「今回は大阪の1号店を案内しましたが、いかにも大阪らしいものばかりではなく、フレンチナイズドされたラーメン屋にアメリカ生まれのドーナツ、食のエンターテインメントである回転寿司、ハイカラな昭和な喫茶店……と、振り幅のあるラインナップが印象的で。僕にはこれが、大阪の食文化の豊かさや奥深さを体現しているように感じられました。
1号店に行く魅力は、『1号店だから味が違う』とか『メニューが他と違う』という単純なことではなく、その店やブランドの歴史を辿れることだと思うんです。 創業時に思いを馳せながら食べていると、ひと口ひと口、歴史を噛み締めているような気分になれる。僕はそれが1号店に行く醍醐味だと考えています」
取材を終えて、そう語ってくれたBUBBLE-Bさん。国内外の飲食チェーン店の本店や1号店を巡る彼の旅は、きっとまだまだ続いていくのです。
失われたあの店の1号店(おまけ)
全国に名を轟かせるあのお店、実は大阪発祥だったということも多いけど、すでにお店が無くなっているパターンも。
例えば、全国に455店舗(2024年3月末日現在)展開する「なか卯」の1号店は大阪府茨木市にある「ソシオ」の飲食店街にあったのだとか。
残念なことに2005年5月で閉店してしまいましたが、今でもその名残として案内看板が存在しています。


その他、サラリーマンの強い味方「じゃんぼ焼鳥 鳥貴族」は東大阪市の俊徳道で生まれ、豊中市からは回転寿司の「スシロー」(当時の店名は「すし太郎」)が生まれました。普段何気なく利用しているあのお店やこのお店、1号店や本店を知ることで、より魅力が増すのかもしれません。ぜひ注目してみてくださいね。
- Text
- 六車優花(Yuka Muguruma)
- Photo
- 高津祐次(Yuji Takatsu)
- Edit
- 高津祐次(Yuji Takatsu)
- Direction
- 人間編集部
※掲載情報は2025年3月時点のものです。掲載店舗・施設に関する最新の営業時間は各店舗・施設のHPなどでご確認ください。