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マニアも唸る盆栽の聖地に潜入!大阪屈指の品揃えを誇る「養庄園」と植木のまち池田の魅力
2024.11.22
海外で若い愛好家が急増中の「BONSAI(盆栽)」。 今回の「OSAKAマニア探訪」は大阪が誇る盆栽の聖地「養庄園」に、若き盆栽作家の伊藤壮吾さんと伺いました。マニアックな視点で語られる盆栽の魅力、とくとご堪能ください。
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「養庄園」のある池田市は大阪府北部に位置し、山や川など豊かな自然と共存していながら、梅田駅から電車でおよそ20分で行ける好アクセスな街。インスタントラーメン発祥の地として知られ、日清食品創業者・安藤百福の業績を記念した「カップヌードルミュージアム大阪池田」は、大阪府内でも人気の高い観光スポットです。
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そんな池田市の特産品と言えば、細河地区の植木。古くから「日本の四大植木生産地」の中心的な役割を果たしてきました。近年、ホットなジャパニーズカルチャーとして海外で人気の「BONSAI(盆栽)」を目当てに訪れる人が増えています。
中でも「養庄園」は、園内の広さが600坪もあり、取り扱う盆栽の数はなんと5000鉢以上(!)と大阪でも最大規模の販売店。盆栽初心者から上級者までさまざまな人が足を運び、海外でも高い知名度を誇るのです。
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今回は、「古風な生き方」を人生のテーマにし、盆栽の魅力を伝える若き盆栽作家の伊藤壮吾さんが植木の郷・池田市の魅力を紹介します。
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伊藤 壮吾1998年、大阪府堺市出身。中学校の体育の教員を経て、盆栽作家として活動を開始。「古風な生き方」を人生のテーマに、盆栽の魅力を発信。また、自身が手がけるアパレルブランド「DANJI JAPAN」では、半纏や下駄といった伝統的な和服を現代にアップデートし、ジャパニーズカジュアルとして発信している。
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盆栽ならお任せあれ。大阪屈指の品揃えを誇る「養庄園」
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池田駅からバスで揺られること20分ほどで、目的地の「養庄園」に到着。店の入口はすでにたくさんの盆栽で溢れています。「入門にピッタリな小さい盆栽から、樹齢100年を超える盆栽まで豊富に取り揃うお店って、大阪ではなかなか珍しいんですよ」と、伊藤さん。盆栽を始めてすぐの3年前に訪れ、盆栽についていろいろ学ばせてもらったそう。
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今回お世話になったのは、「養庄園」の4代目になる代表取締役の浦部勝さん。挨拶をすませたあと、園内を案内していただきました。
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中へ進むと、1メートルほどもある巨大な盆栽から苗木まで、さまざまな盆栽がズラリと並び、そのどれもが丁寧に手入れされています。取材時には、外国人のお客さんの姿もたくさん! 海外では、新しいカルチャーとして盆栽に興味を持つ人が多いため、若い年代の愛好家がとても増えているそうです。
「盆栽=おじいちゃんの趣味というイメージがあるが、実際は違う」と、浦部さん。高度経済成長期に主に盆栽を愛好していたのは、30〜40代が多かったんだとか。「いい車を買って自慢するのと一緒やん? ええ盆栽を持ってたら、ステータスっちゅう時代だった」。
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伊藤さん
盆栽って、100鉢あれば100通りの形がある。一つひとつの個性に愛着が湧きますよね。自分が持っている盆栽の枝の曲がり方一つ見ても、自分が好きな形にちゃんと成長してくれると嬉しいし、見てて幸せな気分になります。
浦部さん
僕は子どもの時から盆栽を見てるから、そばにあるのが当たり前。好きを通り越して家族みたいなもんやなあ。趣味からじゃなくて、もともと仕事で盆栽の世界に入ってるからね。
伊藤さん
浦部さんはどんな形の盆栽に惹かれますか?
浦部さん
やっぱり、「こんなのどうやって育てるんや!」って思わせるような盆栽は魅力的やなあ。盆栽って自然を模写するもんやから、頭の中で作り上げた自然の縮図を、長い時間をかけて作り上げていく。だから小さくても存在感があるんよ」
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浦部さん
若い人の中には、ステンレス製の鉢や花瓶に植えてる人もいるでしょ? あれも全然いいと思う。
伊藤さん
鉢植えは伝統的なものを使うべきっていう人もいますが、浦部さんは賛成派なんですね。
浦部さん
反対なんかせえへんよ! もちろん、昔から伝わる作り方っていうのも大事やけど、盆栽が古いモンやと思ってるから反対するわけで、時代とともに盆栽は変わるんよ。その変化がアカンかったら消えていくし、受け入れられたら一つの王道として、ちゃんとした道になって残る。そうやって盆栽も進化してきたと思うし。
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伊藤さん
盆栽って苗木から育てても大きくなるまですごく時間がかかるし、ゼロから自分の力だけで育てるのは不可能やと思うんです。農家さんや、高齢になって育てるのが難しくなった方から譲り受けて、自分の人生をかけてだんだん作っていく。そんなところにロマンを感じるんですよね。浦部さんはどんなところに魅力を感じますか?
浦部さん
盆栽以外の植物は、数を集めるとかして楽しんだり、大きくはなるけど自分で形は作られへん。でも盆栽は買ったときが全てじゃなくて、枝を垂らしたり、短くしたり、少しずつ手を加えて変えていける。それが一生楽しめるっていうのが、盆栽の一番の魅力やないかなって思うなあ。
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ますますヒートアップする盆栽談義。最後に、盆栽の初心者は何から始めればいいのか、ふたりに聞いてみました。
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浦部さん
「何がおすすめですか?」ってよく聞かれるけど、一人ひとり好みは違うやん。よく見てもらって、自分が気に入ったものを選ぶ。値段もそれぞれ。まずは1年枯らさないように育てられたら加工ができるようになるから。
伊藤さん
僕の場合はいろんな人に聞きに行きました。いろんな先輩方に可愛がってもらって、あれこれ教えてもらって。それからめっちゃ盆栽にハマりましたね。
浦部さん
一つだけを大事に育ててもいいし、また別の種類を育ててもいいし。楽しみ方は人それぞれで、盆栽はほんまに自由!
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ちなみに、この中で一番気になる盆栽は? と聞いてみると、「大きいものが好きなので」と杜松(トショウ)の盆栽を選んだ伊藤さん。白くなっている部分はシャリと呼ばれ、枯れている部分。枯れて風化した幹と生きている幹のコントラストが特徴で、近年人気の形だそうです。お値段は180万円!
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ボタニカルなカフェで、癒しのコーヒーブレイク
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盆栽園の見学のあとは、併設するカフェ「KIBE KITCHEN」で一休み。入口のドアを開くと、至る所に緑が飾られたボタニカルな空間が広がります。
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人気のデザートは、サクサクとしたフレークが入ったティラミスの上に、抹茶がたっぷりとかかった「苔玉風ティラミス」。小豆の甘さと抹茶が相性抜群で、見た目も苔玉そっくり。オリジナルブレンドのコーヒーも味のバランスが絶妙!
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盆栽だけじゃなく、さまざまな観葉植物も手頃な値段で販売。緑に囲まれた広い店内には、ソファー席がたくさんあるので、まったりと寛げるのも魅力です。高級食パン「春日」を使ったモーニングやランチメニューも充実しているので、ぜひ養庄園とあわせて訪れてみては?
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営業時間:(平日)9:30〜17:00LO、(土日祝)8:30〜19:00LO
定休日:無休
電話番号:072-737-9727
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四季折々の花木が出迎える久安寺
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池田市の自然を感じるボタニカルなスポットで、見逃せないのが「久安寺」。奈良・東大寺の大仏の造営に尽力した仏教僧の行基が725年に開創したと伝えられている由緒正しいお寺で、境内への入口である楼門は国の重要文化財に指定されています。
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久安寺は「関西花の寺二十五ヶ所」の札所の一つであり、「花の寺」としても親しまれています。時期が少し早かったのが残念なくらい、山道には紅葉の木がいっぱい。紅葉やアジサイ、ボタンやツツジなど、境内や参道には四季折々の花が咲き、参拝客を出迎えます。
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敷地内にある「虚空園」という美しい庭園では、気持ちよさそうに泳ぐ鯉の姿が。
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聞こえてくるのは風に揺られる木々のざわめきのみ。街の喧騒から離れ、自然に囲まれた場所で時間を過ごすと、気分もリフレッシュされます。
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自然豊かな温泉宿も!
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池田市には、緑豊かなロケーションを満喫することができる温泉旅館も。「伏尾温泉 不死王閣」では、天然ラジウム温泉で全身の疲れを癒すことができる露天風呂があるんです。日帰り利用ももちろんOK。緑に囲まれたロケーションで極上のリラックス体験が味わえます。
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営業時間(日帰り温泉入浴):11:00~22:00(最終受付 21:00)
定休日:不定休
電話番号:072-751-3540
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暮らしを充実させる盆栽を
今回の「OSAKAマニア探訪」では、大阪が誇る盆栽園の「養庄園」を訪れ、新進気鋭の盆栽作家の伊藤さんと浦部さんのおふたりに、盆栽の魅力について語っていただきました。
盆栽は一生をともにできる植物。だからこそ奥が深くて面白い。暮らしの中に盆栽があると、いつもより穏やかな気持ちになれるかもしれません。
また、池田市には山だけでなく綺麗な川も流れ、昔ながらの里山の景色がたくさん残っています。都会の喧騒から少し離れ、自然に触れれば気分もリフレッシュできるはず。ぜひ一度訪れてみてください!
【DeepExperience】池田の自然と心を癒す、盆栽と寺院体験ツアー
・職人の指導のもと自分だけの松の盆栽を作り、池田の豊かな植木文化を体感!
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・日帰り温泉でゆっくりと心と体を癒し、日常の疲れをリフレッシュ!
・大阪の近郊にありながら、自然と伝統文化に囲まれた池田で非日常のひとときを提供
・盆栽や寺院の歴史や背景をガイドがわかりやすく紹介し、日本文化の魅力を深く学べる
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- Text
- 関戸ナオヒロ
- Photo
- 山元裕人
- Edit
- 前出明弘
- Direction
- 人間編集部
※掲載情報は2024年11月時点のものです。掲載店舗・施設に関する最新の営業時間は各店舗・施設のHPなどでご確認ください。