
個性炸裂、独自進化した大阪の寿司!老舗の箱寿司から予約困難な高級店、コスパ最強の隠れた名店、ヴィーガンまで7選
2025.03.14
日本を代表する料理の一つである寿司は、長い歴史の中で進化を重ね、独自の文化を作り上げてきました。アメリカ出身のインフルエンサー・フランキーさんが大阪の個性的な寿司店を巡り、その奥深い世界を堪能します。

寿司の歴史は東南アジアの発酵食品である「なれずし」から始まったといわれ、奈良時代に日本に伝来したそうです。現在の握り寿司の原型が生まれたのは江戸時代後期の東京で、新鮮なネタを客の前で握る庶民向けのファストフードとして広まりました。

一方、食の都として栄えてきた大阪では、室町時代から親しまれていたサバやアジなどの大衆魚を使った「押し寿司」の派生として、明治初期に鯛や穴子などの高級食材を使った「箱寿司」が誕生。更に、ちらし寿司をせいろに入れて蒸す「蒸し寿司」など、独自に進化を遂げました。
今回は、そんな箱寿司の発祥の店から、断面が美しい巻き寿司、最新の映え寿司、大阪の人情溢れるサービス過剰な店など、味はもちろん見た目やコンセプトなど個性豊かな7店舗を紹介します。
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Frankie フランキーアメリカ出身のインフルエンサー。現在は関西に在住し、InstagramやyoutubeなどのSNSで日本の魅力を発信している。
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01. 吉野寿司

江戸末期からの歴史を紡ぐ、箱寿司発祥の名店
船場にある「吉野寿司」は、江戸時代末期に創業した老舗。明治時代に3代目・橋本寅蔵が考案したといわれる「箱寿司」は、芝居の合間に食べる寿司として人気が高まりました。現在も伝統的な調理法を受け継ぎながら箱寿司を提供しています。基本は持ち帰りのみですが、2階のイートインスペースでは購入した商品を食べることができます。

今回、フランキーさんが選んだ「吉野揃え」は、吉野寿司の魅力を凝縮した一品。箱寿司はもちろん、秘伝のタレで焼いた穴子の細巻き、小鯛の棒寿司、刻んだ焼き穴子や椎茸を包んだしゃりを薄焼き玉子で巻く袱紗(ふくさ)など、人気のメニューが一堂に会し、見ているだけで食欲をそそられます。

箱寿司は以前にも食べたことがあるというフランキーさんですが、発祥の店の味は格別。少し甘めに炊かれたシャリや、食べやすいように薄く伸ばされたネタなど、時間が経ってもおいしさが損なわれないよう施された工夫には、江戸前寿司とはまた違った味わいがあります。
イートインスペースには、箱寿司を作る際に使用する器具が展示されており、実際に触ることもできます。七代目店主の橋本卓児さんによると、この木枠を作ることができる職人がもういないため、今使っているものが限界を迎えた後の対策は、現在、検討中とのこと。


02. 鮨shizuku西天満

ここでしか食べられない芸術作品! 予約困難な超人気店
続いて訪れたのは、西天満の「鮨shizuku西天満」。心斎橋にある「鮨shizuku」の系列店で、予約1年待ちという本店の状況を緩和するため、2023年7月にオープンしました。とはいえ、3ヶ月ごとに受け付ける予約枠は、毎回、一瞬で埋まってしまうそうです。

コースで提供される寿司は1人前25,000円(税込)で、内容はおまかせ。「ここにしかないものを作ることを目指しています」という店のメッセージ通り、どのメニューにも一般的な寿司のイメージをアップデートさせた創意工夫が込められています。カウンターからは調理の様子を見ることができ、次々と繰り出される職人技に思わず見入ってしまいます。

今回は、コースで提供されているものの中から定番&人気のメニューをピックアップ。いずれの寿司もネタに合わせて専用の塩や醤油が用いられ、未知の食感と芸術的なビジュアルが、一般的な寿司の概念をことごとく覆してきます。
極上空間で異次元の寿司を体験できる「鮨shizuku西天満」。予約困難ではありますが、大切な人との会食など、特別なひとときを過ごすには最適なお店です。



営業時間:17:30〜20:00、20:30~23:00(二部入れ替え制)
定休日:日
電話番号:06-6809-6535
03. SHIN NIPPON

妖艶なムードと絶品海鮮がマッチする、極彩色の寿司割烹
アメリカ村の雑居ビルにある「SHIN NIPPON」は、大阪を代表するフェティッシュバー「FARPLANE」がプロデュースし、2024年8月にオープンした寿司割烹。オリエンタルな雰囲気と極彩色が同居した店内は、個性的でありながら居心地の良さを感じさせます。

異色なスタイルの「SHIN NIPPON」ですが、味やサービスには徹底的にこだわり、本格的な海鮮料理を味わうことができます。長いキャリアを持つ料理長・作田裕治さんが自慢の腕を振るうメニューは「翡翠(税込10,000円)」「富士(税込13,000円)」「金襴(税込20,000円)」という3つのコースで提供され、今回は、富士コースをチョイス。

握りは、いずれも繊細かつネタの魅力を十二分に引き出した仕事ぶりに感動。赤いかごに紅葉を添えて提供される手毬ずしはキュートなルックスが魅力で、大半の人が食べる前にカメラで撮影するのだとか。
「SHIN NIPPON」の料理は、味はもちろんのこと、華やかさやサーブ時の遊び心溢れる演出などエンタメ性が満載で、次々と繰り出される工夫は、まるでアトラクションのよう。エキゾチックなテイストも異世界で食事をしているかのような楽しさを感じさせてくれます。



営業時間:18:00〜20:00、20:30 〜22:30(二部入れ替え、完全予約制)
定休日:なし
電話番号:080-5351-3374
04. くろしを

トロにぎりを頼んだらすき焼きが? サービスし過ぎる海鮮居酒屋
JR大正駅の真向かいにある「くろしを」は、大阪でも屈指の「サービスが過剰過ぎるお店」として知られ、国内外問わず多くのファンを持つ居酒屋です。
まずは店の名物であるトロにぎり(税込880円)を注文。その味は名前が示す通り、とろとろの柔らかいものから、ほど良い歯ごたえが楽しめるものまで、マグロ好きなら歓喜に包まれること間違いなしな味を堪能できます。

その後、「こちら、サービスです!」と威勢良くテーブルに運ばれたのが、小鍋に盛り付けられたすき焼き。くろしをでは、トロにぎり、中落ちマグロ、トロかま焼きのいずれかを注文すると、自動的にすき焼きが付いてくるという、採算度外視なサービスがあるのです。


そして、こちらが店主の阿部孝幸さん。どこかで見たような……という方、そうです。トロにぎりに添えられたわさびアート、すき焼きに付いてくる卵に描かれた似顔絵のモデルで、ご覧の通りの陽気なキャラクターでお店を盛り上げています。
そして、カウンターの上にはボリューミーにもほどがある鉄火巻スペシャルがお目見え。これで660円(税込)というのだから、価格の概念が完全に別次元です。
他にも、次から次へと無料サービスが……。ちなみにこの後、サービスドリンクとしてカフェオレも出していただきました。

店内では看板猫のさつきちゃんが常時見回りを行っており、愛猫家のお客をメロメロにしています。機嫌が良ければ隣りに座ってくれるかも?
日本の、いや、世界的に見てもここまでサービスするお店はないのではないかと思われる「くろしを」。味はもちろん、エンタメ性抜群な時間を過ごすことができ、忘れられない思い出を作ることができるでしょう。


まだまだある! ネタも店作りも個性的な寿司店
05. 仕出しのたぬき

堺市・浜寺にある「仕出しのたぬき」の名物「たぬき巻き」(税込2,800円)は、直径約12cmというビッグサイズの巻き寿司で、中にマグロ、玉子、エビ、きゅうりなど、18種類もの具が入った豪華な一品です。一人で食べきれないという人にはハーフサイズ(税込1,480円)もご用意。繁忙期を除けば、当日の電話予約で店頭購入も可能です。

冠婚葬祭や宴会で提供する仕出し料理の専門店で、基本的に仕出しとテイクアウトのみの対応ですが、15名以上であれば店内の宴会場(要予約)での会食も可能です。2階・3階の貸切宴会場は、団体旅行での食事利用にも最適。足や膝に負担の少ない高座椅子とテーブルが用意されているので正座が苦手な人でも安心です。

60年以上もの間、堺の人々に愛され続けている「仕出しのたぬき」。たぬき巻きの迫力を味わってみたい人は、ぜひ足を伸ばして訪れてみてください。
06. 寿し まつもと

ミニ水族館でサメとふれあえる、東大阪の老舗店
東大阪市の「寿し まつもと」は、カウンター席と座敷席の間に大きないけすがあり、泳いでいる魚たちにふれることができます。お店の三代目・松本剛さんによると、創業者である松本さんの祖父が店を拡張した際に床を掘っていけすが作られたそうです。最初は食用の魚を泳がせていましたが、現在はドチザメ、ネコザメ、アカエイ、ウツボなど、ペットとして飼育されている魚たちが気持ち良さそうに泳いでいます。


ネタは鶴橋の市場から仕入れ、鋭い目利きで選び抜かれた品質・鮮度は折り紙付き。サーモン、はまち、まぐろなどがたっぷり乗った海鮮丼やサイズの大きさに驚かされる握りなどが、お手頃価格で味わえます。
ミニ水族館の他に子ども用オリジナル塗り絵やおもちゃも用意されているなど、ファミリーも来やすいお店の「寿し まつもと」。松本さんはお店に立つ傍ら、コスプレパフォーマーとしても活躍しており、休日にはさまざまなイベントに出演。お店にいる時もサメのマスクをかぶって接客することがあるなど、お客さんに楽しんでもらうための工夫を日々、考えています。

営業時間:11:30~14:00、17:00~21:00
定休日:火(不定期で土・日・祝に臨時休業あり)
電話番号:06-6722-4174
07. 精進寿司 みなも

ヘルシーでアーティスティックなヴィーガン寿司
心斎橋・アメリカ村のど真ん中、スタイリッシュな外観が特徴的な「精進寿司 みなも」は、大阪で人気のヴィーガンレストラン「パプリカ食堂」の3号店として2024年9月にオープン。周辺には商業施設や劇場なども多いので、ショッピングやコンサートなどの後に立ち寄るのもおすすめです。

運営元がヴィーガンレストランということもあり、提供される寿司は、もちろんグルテンフリーのヴィーガン仕様。一見、魚や動物性由来の食材を使用しているように見えますが、基本的にすべてのメニューを植物性由来の食材で作っており、食欲を誘うビジュアルとヘルシーさを同居させた創意工夫に驚かされます。
他にも豆腐とかぼちゃをベースにしたたまご風、有機人参を蒸して柔らかくしたサーモン風、たまり醤油とヴィーガンバターで火入れしたしいたけなど豊富なメニューを揃えており、普通の寿司とみまごう調理のアイデアに感服します。
寿司を堪能したいけど魚や動物性由来の食材が食べられない、カロリーが気になるといったヘルシー志向の人は、ぜひ、「精進寿司 みなも」のヴィーガン寿司を体験してください。

営業時間:12:00~15:00、17:30~22:00
定休日:水・木
電話番号:06-4256-3662
ユニークな発想で生み出される大阪の寿司。無限の可能性をお店でぜひ味わって!

「アメリカにもたくさんの寿司店がありますが、やっぱり日本で食べるのが最高!」と語るフランキーさん。今回の取材でまったくタイプの違う寿司店を訪れ、「また一つ日本の食文化の魅力を知ることができた」と、大満足の表情を浮かべていました。
ユネスコの無形文化遺産に和食が登録されるなど、近年メジャーになってきた日本食。その中でも比較的、手軽に味わえる寿司は、幅広い層にとって愛着のある国民食といえるでしょう。住んでいる人も旅行者も、ぜひ、個性的なアイデアで楽しませてくれる大阪の寿司店を巡ってみてください。
- Text
- 伊東孝明(Takaaki Ito)
- Photo
- 古賀亮平(Ryohei Koga)
- Edit
- トミモトリエ(Rie Tomimoto)
- Direction
- 人間編集部