金剛山に抱かれて楠公に思いを馳せる千早赤阪村の旅 0

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大阪府の南東部、標高1125メートルの金剛山に抱かれた千早赤阪村は府下で唯一の「村」。「金剛山(こごせ)の里」とも呼ばれる村内を歩けば、日本の棚田百選に選ばれた「下赤阪の棚田」をはじめ、美しい風景がそこここに広がっている。小川のせせらぎ、小鳥のさえずり、ロープウェイで空中散歩。森林浴、ハイキング、登山......と自然体験は思いのまま。「太平記」で知られる南北朝時代の武将・楠木正成生誕の地や合戦の舞台を訪ねる歴史ウォーキングも楽しめる。さあ、履き慣れた靴ででかけよう。

近鉄長野線 富田林駅よりスタート

  • 金剛バスで約20分「水分神社前」下車徒歩1分 

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1. 建水分神社(たけみくまり神社)

通称は水分神社(すいぶんじんじゃ)。富田林駅からバスでガトゴト約20分。バス停を降り、奥へ進むと大きな石造りの鳥居がまん前と右手に二つ並んでいる。前方の鳥居をくぐり、約50メートルほど階段を上ると松の巨木に囲まれて静かにたたずむ拝殿が目の前に。信長の焼き討ちに遭い、地元の人たちがそこらじゅうの木材を集めて復建したという拝殿は、なるほど柱のところどころが破損しているが、それだけに厚い信仰心を伝える貴重な遺物として、思わず合掌したくなる。
さらに石段の上方には、1334年、後醍醐天皇の勅命により楠木正成公が造営した本殿が。天御中主神(あめのみなかぬしのかみ)、天水分神(あめのみくまりのかみ)、国水分神(くにのみくまりのかみ)、罔象女神(みつはのめのかみ)、瀬織津媛神(せおりつひめのかみ)を祀り、桧皮葺きの三殿が渡り廊下で連結する珍しい様式で国の重要文化財だ(一般参拝は拝殿まで)。 
さて、拝殿の横にあるもう一つの石段を下り、最初に右手に見た鳥居をくぐった先は摂社の南木神社。楠木正成公を奉祭する日本最古の神社で、建て替えられた立派な社殿は、ヒノキの自然な色あいと境内のカエデやマツの緑と調和し、都会では味わえない美しさに見とれるほどだ。ゆったりと参拝をすませたら、楠公誕生地を目指そう。 


0721-72-0534
外部サイト 

  • 徒歩3分

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2. 楠公誕生地

建水分神社からバス道へ戻り、徒歩約20分。案内板に従い、古い民家やお地蔵さんに立ち寄りながらてくてく歩く。田んぼには稲、畑にはネギ、ナスビ......。ゆったりのどかな時間を楽しむうちに、次の目的地・楠公誕生地の石碑に到着。 
それではここでちょっと、歴史のおさらい。楠木正成は永仁2年(1294)、ここ千早赤阪村水分山ノ井で誕生したといわれる。当時は140年あまり続いた鎌倉幕府が衰え、政治を武士から天皇の手に戻そう、という一大転機の時代。正成は元徳3年(1331)、後醍醐天皇の皇子・護良親王と共に鎌倉幕府に対抗するため下赤坂城で挙兵する。元弘3年(1333)、正成は千早城に100日間籠城して鎌倉勢を釘付けにし、この間に新田義貞らが鎌倉へ攻め込んで、幕府は滅亡。正成は功労者として、後醍醐天皇より従五位下検非違使に任命される。しかし建武3年(1336)、天皇を中心とした政治に反旗をひるがえした足利尊氏に湊川の戦いで破れ、自害した。 ここ「楠公誕生地」は文禄年間(1592~1596)、豊臣秀吉の命により、増田長盛が土壇を築き、小さな社を祀ったのがはじまりとか。明治8年、大久保利通の奨めにより建てられた碑の銘は幕末の剣豪の一人、桃井春蔵の直筆によるもの。毎年4月25日には「楠公祭」が行われている。 


外部サイト 

  • 徒歩すぐ

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3. 千早赤坂村立郷土資料館

楠木正成生誕地のすぐ隣にある資料館。1階には楠公にまつわる資料や、村内で発掘された古代の出土品などが展示されている。建水分神社の境内にあったという木造の狛犬2頭、古い本殿の写真なども。2階には、水がきれいな地域ならではの高野豆腐作りの道具や農具、生活民具がずらり。お歯黒染めの道具「はんぞう」にはびっくり!


 大人200円、小人100円(団体割引あり) 
 0721-72-1588
外部サイト  

  • 徒歩2分

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4. 楠公産湯の井戸

資料館の正面から右手へ2~3分、畑の中に「楠公産湯の井戸」の石塚を発見。矢印に従って奥へ進むと、ヒノキで作られた階段があり、今も水が湧き出ている井戸がある。美味しい水のそばでアマガエルも嬉しそう......。さあ、ここからもうひと踏ん張り。約25分歩けば日本の棚田100選のひとつ、下赤坂の棚田だ!


  • 徒歩25分

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5. 下赤阪の棚田

産湯の井戸から徒歩約25分、村役場の前を通り、千早赤阪村立中学校前のバス停横の坂を上って中学校の校内を通り抜けた先が「下赤阪の棚田」の絶景ポイント。棚田とは斜面に作られた階段状の水田のことで、その枚数の多さから別名千枚田とも呼ばれているもの。1999年7月、農林水産省によって「日本の棚田百選」が認定され、この棚田も選ばれた。東に金剛葛城連山、北西に河内平野を望み、お皿を幾重も並べたような美しい風景......小さな田んぼの水が太陽の光を反射しながら波を打ち、いつまでも見ていても見飽きない。田植えが済んだ新緑の頃、稲穂が黄金色に色づく初秋......と四季を通じて何度も来たい場所。地元農家の人たちの田植えの苦労を偲びつつ、感慨に浸るひとときだ。


  • 徒歩すぐ

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6. 下赤坂城跡

棚田の「絶景ポイント」のすぐ隣は、昭和9年に国史跡に指定された下赤坂城跡。元弘元年(1331)、楠正成は後醍醐天皇を迎える予定で下赤坂城を築城し、鎌倉幕府に対して蜂起するが、肝心の後醍醐天皇は捕らえられ、皇子であった護良親王が入城。その後の鎌倉勢との戦いの様子が、『太平記』に細かく描かれている。兵糧攻めを受けたすえ、正成は10月21日夜、下赤坂城に火を放って金剛山に逃げるが、その後、正慶元年(1332)4月に城を奪回。500m東方に正成は上赤坂城を築くが、またも幕府軍に包囲され、水を絶たれて落城。正成の兵は千早城に逃れ、5万人の幕府群が包囲する中、500人の兵で奇策を展開し、140日間持ちこたえたと言われる。村内には本丸、二の丸、出丸の形が残っている上赤坂城の址、南北朝末期の1392年まで存続した千早城趾も残る。時代の波に流されながらも、卓越した手法で果敢に戦った楠木正成。合戦の跡地に立てば、その雄叫びが聞こえてきそうだ。


  • 金剛バスで20分

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7. 千早赤阪村営金剛山ロープウェイ

5分ほど歩いて再び中学校前のバス停に戻り、バス約20分+徒歩10分でロープウェイ乗り場「千早駅」へ。標高975mの「金剛山駅」までドキドキの空中散歩は、春の桜、夏の緑、秋の紅葉、冬の樹氷と四季折々の自然が醍醐味だ。天気が良ければ、後方に高野山の登り口、左手に関西空港の司令塔まで見えるとか。乗車時間は約6分間なので、見落とさないように!


 大人片道700円(こども350円) 往復1300円(こども650円)
 0721-74-0128


  • ロープウェイで6分 徒歩すぐ 

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8. 金剛山「しゃくなげの路」

ロープウェイに揺られて約6分。終点の金剛山駅に到着すると、右手には金剛山「しゃくなげの路」の入り口が。シャクナゲやヤマブキソウ、ヤマツツジなどのお馴染みの花々からイカリソウ、ユキモチソウなど珍しい山野草があちこちに。コナラヤマブキなど大木もそびえ、森林浴を満喫できる。深呼吸する人、カメラのシャッターを切る人、早朝登山から下山途中の人、誰もが皆、いい顔だ。あっと言う間の徒歩15分を経て、ちはや星と自然のミュージアムへ。 


  • 徒歩15分

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9. ちはや星と自然のミュージアム

金剛山「しゃくなげの路」のちょうど終点に建つ、自然にやさしい4つのエコ設計(風力発電、木造建設、エコルーフ、バイオトイレ)ミュージアム。1階から2階にかけてのスロープは金剛山の歴史を紹介するタイムトンネル。森の天然素材を使った作品展示や、天文・ブナ林・山野草・野鳥・昆虫観察などの学習スペースで子どもは生き生き、大人もワクワク。口径400ミリの大型天体望遠鏡も設置され、宇宙のロマンも楽しめる。


 0721-74-0056

外部サイト 

  • 徒歩10分

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10. 金剛山展望台

ちはや星と自然のミュージアムからほんの少し足をのばして山上を目指して徒歩10分進むと、そこは3階建ての展望台だ。上ってみると......なんと素晴らしい眺め! 空気が澄んだ晴れの日は、世界遺産の吉野の金峯山寺や大峯山の山並みも見渡せる。今日一日の疲れもどこへやら、気分爽快の空のデッキだ。


  • 徒歩10分

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11. 香楠荘で古代ヒノキ風呂

千早赤阪の村歩きもそろそろ終盤。締めくくりは、ちはや星と自然のミュージアム近くの香楠荘にて。古代ヒノキ風呂で汗を流そう。古代ヒノキとは海抜2500メートル以上の高山で樹齢2000年を重ねたものの、地穀変動や地震などで倒木、150~200年眠りを重ねたヒノキの巨木のこと。浴槽に加工された古代ヒノキ風呂は、木肌から独特の油分が出て血行や新陳代謝を促進、神経を鎮める効果があるという。これぞ「お風呂の森林浴」だ。ふと浴室の窓から外を覗けば、深い緑の山が。


日帰り入浴は11時~15時、500円(火曜日はお休み)
0721-74-0056

外部サイト  


追加情報

お土産 : 香楠荘・おみやげ売り場で、千早赤阪のおふくろの味各種をぜひ。  
備考     :下赤阪の棚田へお越しの際、お車を「道の駅」周辺に止めてくださるようお願いします。また、田んぼへお入りするのもご遠慮願います。