伝統と歴史が「うまい!」を生み出す 0



昆布ロード

北前船が活躍する江戸時代、北海道で収穫された昆布は、日本海の『昆布ロード』を経て、下関から瀬戸内海を経由する西廻り航路で「天下の台所」大阪、堺に運ばれた。大阪の廻船問屋、昆布屋伊兵衛が河内木綿などの特産品と入れ換えに、北海道から昆布を北前船で持ち帰り、堺に陸揚げしたと伝えられる。大阪は、この時代から「真昆布」を選んだ。京都の「利尻昆布」とは一味違う濃厚なうまみの出汁が、大阪の「うまい!」を支えている。堺の昆布加工業は、特に大正から昭和の初めにかけてピークになり、約150軒の昆布加工業者が集まる一大産地になった。大阪という大消費地に近く、加工に必要な刃物が堺のもう一つの特産品でもあり、堺の昆布加工は発展。手すき極薄のおぼろ昆布は、大阪の昆布文化の華。出汁昆布はもちろん、塩昆布(佃煮)、とろろ昆布も大阪の名物。


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なにわの下り酒


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~料理と切っても切れない銘酒あり~

江戸時代、大阪は天下一の酒どころとして名をはせた。「天下の台所」大阪は銘酒の里、灘、池田、伊丹を擁しているからだ。料理あっての酒、酒あっての料理。摂津・河内・和泉と呼ばれた三州からも、江戸に向けて大量の酒が運び込まれ、高級な「下り酒」としてもてはやされた。近郷の良質米、周辺の山脈からもたらされる清らかな水で醸された大阪の酒は、豊かな食文化に育まれ、鍛えられて、すっきりした飲み口ながら個性の主張もある奥行きの探さが持味。料理をさらに美味しくし、料理によっていっそう旨さがきわだつ酒だ。秋鹿 (あきしか)、呉春 (ごしゅん)(江戸後期に活躍した絵師の名前に由来する蔵元で、地元でも手に入りづらいことで知られる)。 片野桜 (かたのさくら)、天野酒 (あまのさけ)、 奥鹿 (おくしか)、國乃長(くにのちょう)など。

大阪の味は「出汁の味」

今や国際語となった「うま味」。その言葉の起源とも言える「だし」は、日本の食文化の根幹であり、日本固有のもの。この「だし」は大阪で生まれました。今も、大阪の食文化の決め手は、黄金色に輝く「だし」。昆布とカツオ節の合わせだしが基本です。さらにイリコや干し椎茸、ジャコエビと呼ぶ小エビの一種を干したものなどを合わせ、さまざまな料理のベースにします。大阪の郷土料理として有名な「粉もん」と呼ばれる、うどんやたこ焼き、お好み焼きにも、だしは欠かせません。家庭でも、簡易な方法を取り入れながらも、日常的にだしを使っています。大阪の味の基本は、昆布とカツオ節の合わせだしです。昆布は、産地の北海道から、江戸時代に始まった北前船と呼ばれる日本海航路を渡って大阪に輸送されました。上がり荷は昆布やニシンなどの海産物、下り荷は、米や塩、酒、古着などで、商人が巨利を得ただけでなく、北国と西国の文化の交流をもたらしました。北海道の昆布によって、和食の基礎となるだしが生まれたのは、その最たるものでしょう。京都には利尻昆布が荷入れされやすく、大阪には道南に産する真昆布が大量に直送されました。利尻昆布より、まったりとコクのある真昆布のうま味が、大阪では喜ばれたのです。その真昆布と、紀州や土佐、薩摩(現在の和歌山、高知、鹿児島)に揚がるカツオを加工したカツオ節とが出合い、合わせだしが生まれました。


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これは、昆布のグルタミン酸とカツオ節のイノシン酸の相乗効果により、強いうま味を生み出す、誠に理に適ったものです。一流の料理屋では、最上級の真昆布とカツオ節を用いて引いた一番だしを、“うちの味”として、胸を張って供します。だしを取ったあとのだしがらも、有効に利用します。昆布は細かく切りそろえてカツオ節と合わせて、甘辛く味付けをしてふりかけにしたり、醤油やみりんと炊いて佃煮を作ります。昆布の消費量は大阪が日本一です。北国の昆布が大阪の特産物にまでなったのは、加工技術があってこそ。堺の刃物技術があったから、とろろやおぼろ昆布に加工したり、和歌山の醤油があったから塩昆布が生まれたり。だしのみならず、さまざまな昆布の加工品が今も作られています。

なにわの発酵文化


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――味の決め手は「薄口醤油」

醤油には薄口醤油と濃口醤油があるが、関西の味は薄口醤油。数年前から使われていた。薄口醤油は濃口より色が薄く、塩分は強い。ただし、ただ塩辛いだけではなく風味をよくするために甘酒が加えてあり、これが「醤油臭さ」を抑える。だからこそ素材の持ち味や色の美しい「なにわ料理」を発展させた。この薄口醤油の存在が、洗練され、美味しく、見ても綺麗ななにわ料理を育んだのだ。

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